2015年01月22日

脱いだら畳む

檀家さんのおばあさんが亡くなられて(行年98歳)、その子どもたちから聞いたお話です。



「とても優しかったけど 、ご飯の食べ方から 所作、振る舞いまで そりゃうるさかった」「そうそう 『畳の縁は踏むな!』 な~んてね」
「寝る前はさ~、脱いだ服をきちんと畳んで、両手をついて 『お父さん、お母さん、お休みなさい』だもんね~」 

「それで 今も 脱いだ服を畳んで寝ますか?」と私、
 
「しない、しない・・・ 子どもの時だけですよ~」 

どうせ 明日着る服を どのように置いても 何の問題もない、メンドクサイか 時間の無駄か? だけど 誰も見ていないこの行為を ずっと続けられる人って スゴイ!と思います。



『寒行初日』

18:45
出発前に 本堂で 皆で
お経を読む。

この日の参加者
計32名。





 


1昨日より 『寒行』が始まりました。 今年でちょうど10年です。




スタート前、
今日のコースの説明と
注意事項等を話す。














最初は お坊さん4人で 村の中を行脚(あんぎゃ)しておりましたが だんだん参加者も増え、今では 30人以上が  凍てつく夜の道を元気に歩いております。 

15日間皆勤の方も多く、「苦しいけど 楽しい」と 皆 張り切っています。



でも 遊び心だけでできることでは無論なく、「修行させていただいている」 という謙虚で強い心があるから続けられるのだと思います。 



私自身でいえば 皆をまとめ、事故を起こさない、という立場上 あまり余裕もないのですが、 凛とした空気と空と地が溶け合った中を自分自身の体までが「南無妙法蓮華経」の中に溶けてしまっている感触を味わうことがあります。 まさに至福の時です。






何のために 服を畳む? 何のために夜歩く? まったく関係のないことですが 理屈を超えた何か、 続けることによってのみ得られる価値、というものがあるような気がします。

私の母は お風呂場で 脱いだ服は一々畳んで籠に入れる。最後の下着、それは紙オムツなのですが 畳んでそっと下に隠す。 洗濯物も 畳んでバケツに入れる。 認知症となっても残ったこの行為、 わが母ながら 上品だと思います。

 
私も 「脱いだら畳む」を 再開しました。 せめてこれくらい 習慣にしてみたい。





『お寺でマルシェ in 興徳寺』 というイベントが開かれました。 ハンドメイドクリエーターの女性たちが中心となって、子育てママたちのネットワークを広げている青空市で 「興徳寺の境内を使わせていただけませんか?」 という申込みでした。 かつては 宗教行事以外には 使わない、と このような催しは断っていたのですが、 若い方たちにお寺を知っていただく良い機会、と引き受けました。 手作りの工芸品、アクセサリーや雑貨、洋服や食べ物のお店まで 26店舗が 所狭しと境内に店開きし、 何よりも 販売する側も客もすべて若い女性、というところが 圧巻でした。






孫のための ベビー用品を
衝動買いしてしまいました。














『寒行案内』

 スタート寺院 20~23日;興徳寺、24~26日;妙泉寺、 27~30日;三澤寺 31~3日;妙覚寺  


Posted by kotokuji at 18:19Comments(0)

2015年01月15日

65歳

65歳になりました。

富士宮市役所介護傷害支援課からの手紙を受け取った時 「何だろう、講演の依頼かな?」 などと思いながら 開封してビックリ、ナント、私名義の 『介護保険被保険者証』 でした。



母の介護をさせてもらっている私も 
「される側」になってもよい歳となりました。





















毎年、誕生日には 『七面山』に登ります。 
いつもは 一人ですが 今年は次男を連れて行きました。



25町(1町は109m、頂上は50町)を過ぎると 道は アイスバーンになり、アイゼンという鉄の爪を靴底に装着し、一歩一歩と踏みしめてゆきます。

1町ごとに 灯篭が立っていて 現在地がわかるようになっています。



登りだけで 平らな所は一切ない道です。 
30町を過ぎて 「まだ1/3も残っているのか~」 などとため息つきたくなる頃、 絶妙のタイミングで この看板が現れます。



「何で、毎年この日に登るかっていうとね、坊さんになったときの、あの新鮮な気持ちを思い出させてくれるからなんだ」
毎年、自分自身に言い聞かせていた言葉を 今年は息子に伝えました。
 
『初心』 まだ日本語が完全でない息子の胸にも この言葉はしっかりと刻まれたようです。

アイスバーンの道






敬慎院も雪の中



「お母ちゃん、今は1月でね 今日は10日だよ~」 日めくりのカレンダーを指さしながら、私が言うと,

「アレッ、ホントだ~ アンタの誕生日じゃん、オメデトウ~~」 と満面の笑顔で母が・・・

「いくつになった~?」と訊くので 「65だよ」 と答えると 「大きくなったネ~、ついこの間 産んだと思ったけどね~」  と・・・ 

「お母ちゃんが しっかりと育ててくれたお蔭で、僕も 立派なオジイチャンになることができました」 と 大笑いしました。







初孫の「慎悟」もスクスクと育ってくれているようです。

 
ケイタイの待ち受け画面に、孫の写真を張り付けて 互いに見せ合いながら「可愛い~~」を連発しあっている 若いオバアチャンたちを 微笑ましくも、冷ややかに眺めていたものですが そんな私が 送られてきた写真に そっと「シンゴッ!」 とつぶやき ウットリ、ニヤニヤ・・・  
「マサカ~?」 の展開に 少々うろたえている65歳、





「明日死んでもイイ」といつも思いながら 「30年生きたい」と思っている自分がいます。

歳を重ねるって とっても嬉しいことだ, と再確認した 65歳でした。




*お知らせ
1月20日 より 2月3日まで 恒例の 『寒行』 が行われます。 
毎晩19時より 1時間、凍てつく夜の道を 太鼓を叩き、お題目(南無妙法蓮華経)』を唱えながら歩きます。 
10年前、地元の若いお坊さんたちで始めましたが、今や 毎晩30名ほどの一般の参加者があり、村の風物詩となりました。
1月20日から4日間は 興徳寺よりスタートします。 近くの方、是非一度参加してみてください。
  


Posted by kotokuji at 12:21Comments(0)

2015年01月04日

新春の慶び


初日の出



謹んで 新春のお慶びを申し上げます。
本年も何卒宜しくお願いいたします。




1月2日 元旦会(がんたんえ)

「お正月はいいもんだ、いくつになってもいいもんだ」 先代住職が好んで使っていた言葉です、 
「お正月なんて 嬉しくないね~ また年をとるだけだもん」 なんて おっしゃる方もいますが、私は お正月、大好きです。 

「おめでとうございます」と こちらから言えば 相手も「おめでとうございます」と答えてくれる。 日常の中で こんな機会 めったにあるものじゃない(おめでとう に対する返事は ありがとう が普通)、 しかも 皆 笑顔です。 

お正月は やっぱり嬉しい、特別の日、なのです。















嬉しい、といえば・・・ 

1月1日、メルボルンに在住の長男・拓朗のベビー誕生!
予定日の12月29日になっても生まれる気配なく、「どうせなら元旦に!」などと言ってたのが 現実になりました。

私にとっての初孫、男の子です。

  

「日本語の名前考えて」と依頼されたのですが、これが まったく大変なことで・・・

英語圏できっちり発音してもらうため、RとかLは避け、ポルトガル語圏のことも考えて、HやChiも避け(ha hi hu he ho,はハヒフヘホと読んでもらえない、chiもチではなくシと発音される) 語尾はo にする(男の名前の語尾は-o,女は-a)。

私の元の名は 賢一ですが Kenichiと書いても ケニチとしか読まれず、同じように 次男・浩太 はKota で コウタとは読んでもらえない。 



多分 ミドルネームとして英語の名前もつけられるだろうから 日本語的なトラディッショナルな響きがいいだろうと考えました。 さらに漢字の意味も説明できるもので、字画がよいものを・・・ と 2日間を要して 選び出した名前が7つ、

その中から息子と嫁が選んだのは 『 慎悟 (しんご) 』 でした。
スコットランド人の嫁が気にいってくれて 「もう英語の名前なんか要らない」と言っているようです。

字画だけで考えると まだまだラッキーな漢字があるのですが 何もかも万能で 健康面、経済面でも恵まれる・・・などと約束されていたとしても必ずしもシアワセではないし、画数重視のアテ字ではなく、しっかりと意味のある名前にしたい、と考えました。

「あくまでも謙虚に それでいて精神的には高いレベルを求めて欲しい」 という ジイチャンからの期待を込めて・・・


             今年の年賀状、 興徳寺近くの 水田です。


   
英語の勉強、始めなくては・・・

  


Posted by kotokuji at 21:34Comments(0)